社会福祉における固有な人間理解 : 存在者・存在・他者という3つの次元から
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概要
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人が人に感じる聖なるものが衰退している現状に対し,聖なるものの次元を哲学的思考により考察することで,社会福祉における固有な人間理解の解明を試みている.まず,人間を理解するための枠組みとして,存在者の次元,存在の次元,他者の次元を設定.この枠組みを用いて,先行研究を整理している.結論として,社会福祉における固有な人間理解は,存在者の次元では社会の矛盾・歪みから生まれた社会福祉問題をになった生活者として,存在の次元では尊厳ある存在,かけがえのない存在として理解される.しかし,もっとも固有なものは他者の次元におけるものである.悩み苦しむ人を前にしたとき,人は無関心でいることができない.そこでは,他者の顔,うめき,無念の思いなどにより,「私は私,他者は他者」という人間観が破れ,「私がこの人だったかもしれない」と人間を理解し,申し訳なさを感じる.このような理解・気持ちは他者を支援する活動へとこの私を駆り立てる.このような総合的な理解が,社会福祉におけるもっとも固有な人間理解であると考える.
- 2006-08-31
著者
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