妊娠30週目,帝王切開後1週目,5週目及び10週目の尿中アミノ酸の量的変動の検討
スポンサーリンク
概要
- 論文の詳細を見る
正常妊娠前・妊娠中・分娩後の血中,尿中アミノ酸の量的,質的変化を検討した報告は多いが,帝王切開直後の尿中アミノ酸量を検討した報告はない。本研究では妊娠中,帝王切開後1週目,5週目及び10週目の尿中アミノ酸排泄の変動について検討した。それによって,胎児のアミノ酸利用について考察し,これらの知見をもとに,妊娠中及び帝王切開分娩後の食事について検討する基礎的データの提供を目的とした。帝王切開による出産直後の総必須アミノ酸,特に塩基性アミノ酸(リジン,アルギニン),核酸塩基代謝産物(β-アラニン,β-アミノイソ酪酸),イソロイシン,ロイシン,システイン,プロリン及びリジンの代謝産物であるα-アミノアジピン酸が妊娠中の排泄量より有意な増加が認められたが,総非必須アミノ酸は増加よりむしろ減少を示した。すなわち,同じ肉体的ストレスでも,絶食によるストレスの場合に必要なのは糖新生に必要な非必須アミノ酸であるのに対して,妊娠によるストレスの場合に必要なのは必須アミノ酸であり,その中でも帝王切開直後に著しく増加した塩基性アミノ酸は染色体(DNA+塩基性タンパク質)合成に必要なアミノ酸で,胎児で細胞分裂が盛んに行われていることを示唆している。一方,β-アラニン,β-アミノイソ酪酸,α-アミノアジピン酸の増加は核酸塩基(ピリミジン)及びリジンが,帝王切開により児で利用されなくなり,血中に増加したため,母体肝臓での代謝が促進された結果と思われる。シスチンやプロリンも同じように胎児に利用されなくなったが,肝臓で代謝されることなくそのまま排泄されたものと考えられる。スレオニンやヒスチジンに関しては,以前から妊娠中は,尿中排泄量が異常に高くなることは報告されているが,今回もそのことは確認された。
著者
関連論文
- 老廃物の排出を積極的に促す看護技術の検討-第一報 : 弱酸性美容洗髪法(ベル・ジュバンストリートメント)における洗浄液の分析
- 健康高齢者における自力坐位保持ならびに背面密着坐位中の循環動態及び自律神経活性
- 音刺激が心拍変動に及ぼす影響
- 坐位への変換が循環動態および自律神経系に及ぼす影響
- 臨床実習時の状態不安と尿中ホルモンの変化
- 明暗サイクル逆転によるホルモンの変化
- 鉄欠乏性貧血が脂質代謝に及ぼす影響
- 明暗サイクル逆転による妊娠母体のホルモン変化
- 不規則交替制勤務に従事する妊娠女性の健康管理に関する基礎的研究 : 明暗サイクル逆転が妊娠マウスの自発運動量および母体・胎仔に及ぼす影響
- 明暗サイクル逆転が母胎に及ぼす影響
- 明暗サイクルの変化が妊娠時の体組成及び自発運動量に及ぼす影響
- 老廃物の排出を積極的に促す看護技術の検討 第二報 : 弱酸性美容洗髪法(ベル・ジュバンストリートメント)における洗浄液の分析
- 192 外科侵襲における骨格アミノ酸代謝の検討(第41回日本消化器外科学会総会)
- 妊娠30週目,帝王切開後1週目,5週目及び10週目の尿中アミノ酸の量的変動の検討
- ストレスが妊娠経過に及ぼす影響
- ストレスが妊娠に及ぼす影響
- 明暗サイクル逆転が身体および妊娠に及ぼす影響