孤独のなかで見ること-リルケの『マルテの手記』 : 第一章 孤独
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概要
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ドイツの詩人、R. M.リルケ(1875-1926)の代表的散文作品『マルテの手記』(1910)において、主人公マルテの孤独は、何より彼が外国人として、しかも家族や友人を持たずに近代都市パリに住んでいることに由来する。この設定はしかし同時に、現代人が真に相互に理解し合えない状況のアレゴリーともなっている。この状況の根本的原因として、精神的紐帯(=宗教的影響力)の弱体化が意識されているが、リルケ=マルテにおいては、精神的共同性の喪失および拒否がさらに外界知覚のあり方をも変更していく。拙論タイトルの「孤独における見ること」も、外界を社会的規範のみならず、ときには言語範疇のフレームからも離れて知覚する試みを意味している。
- 2006-03-31
著者
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