アカヒゲホソミドリカスミカメの交尾と産卵の関係
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概要
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アカヒゲホソミドリカスミカメの繁殖生態を明らかにすることを目的として,雌成虫の交尾開始時期,交尾回数および交尾と産卵との関係について調査を行った.未交尾の雌成虫について羽化後の経過時間と交尾との関係を調査した結果,羽化30時間後から交尾個体が観察され,羽化102時間後以降は供試した全ての個体において交尾が認められた.1回交尾を行った雌成虫について,再交尾の可能性を検討した結果,初回の交尾から3,24,48時間後に行った3回の交尾試験において,22個体中17個体で再交尾が観察され,本種雌成虫は複数回の交尾を行うことが確認された.雌成虫の交尾回数と産卵との関係を明らかにすることを目的として,交尾を産卵前期間のみに制限した雌,常時交尾可能とした雌および未交尾雌について,生涯産卵数や生存期間等の比較を行った.産卵前期間,総産卵数に関しては,交尾条件の異なる雌成虫の間に有意な差は認められなかったが,生存期間は未交尾雌において顕著に長くなる傾向が認められた.また,受精卵率は,交尾を制限した場合94.4%,常に交尾可能とした場合92.9%であり,両者の間に有意な差は認められなかった.以上の結果から,アカヒゲホソミドリカスミカメ雌成虫は,産卵前期間中の交尾のみでも正常な繁殖を行うことが可能であると考えられた.
- 日本応用動物昆虫学会の論文
- 2006-08-25
著者
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樋口 博也
農業・食品産業技術総合研究機構中央農業総合研究センター 北陸研究センター
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高橋 明彦
農業・食品産業技術総合研究機構中央農業総合研究センター 北陸研究センター
-
高橋 明彦
中央農研・北陸研究セ
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樋口 博也
農業・食品産業技術総合研究機構中央農業総合研究センター
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