分節型胆嚢アデノミオマトーシスの底部側粘膜は前癌状態である
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概要
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目的:胆嚢アデノミオマトーシスと胆嚢癌との関連を多数例の患者集団において確認すること,および,アデノミオマトーシスに随伴する胆嚢癌の組織発生を明らかにすることである.方法:新潟大学医学部附属病院第一外科及びその関連施設において胆嚢摘出術を施行された4560症例を対象とした.全ての切除胆嚢は,新潟大学第一病理学教室にて肉眼的,組織学的に検索された.胆嚢アデノミオマトーシスはその肉眼形態から,分節型,底部型,びまん型に分類された.また,胆嚢癌の高危険度群に属すると推定された分節型アデノミオマトーシスについては,胆嚢癌発生母地として重視されている化生上皮の程度を,輪状狭窄(annular stricture)より底部側粘膜と頚部側粘膜とに分け,組織学的に検討した.成績:分節型アデノミオマトーシスを有する胆嚢における癌合併率(22/334;6.6%)は,分節型を持たない胆嚢における癌合併率(181/4226;4.3%)に比し有意に高値であった(P=0.049).この"分節型と癌合併との関連"は,60歳以上の患者群(n=2503)において,より顕著であった(15/96;15.6%に対して147/2407;6.1%,P<0.001).一方,底部型,びまん型では癌合併率は低値(各々,1.4%,0%)であった.分節型アデノミオマトーシスに合併した胆嚢癌(22病変)は,全て輪状狭窄より底部側粘膜に発生していた.分節型アデノミオマトーシスの60症例では,頚部側粘膜に比し底部側粘膜において上皮化生が有意に高度であった(P=0.003).結語:分節型アデノミオマトーシスの底部側粘膜は前癌状態である.特に,60歳以上の高齢者において,分節型アデノミオマトーシスの癌合併率は高率である.その癌発生には底部側粘膜の上皮化生が深く関与していることが推測される.
- 新潟大学の論文
- 2003-12-10
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