石川県の更新統大桑層より産出したビョウリツハナイタヤガイ(新称)
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概要
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石川県の更新統大桑層よりPecten byoritsuensisビョウリツハナイタヤガイ(新称)を初めて記載, 報告した。大桑層の本種の右殻は適度に膨らみ, 殻表には17本内外のやや角張った放射肋がある。この放射肋上には更に細い放射肋が発達するが, 前, 後縁付近の肋間より狭い肋上には認められない。主肋の肋間には細い放射肋が認められる。一方, 左殻は平らで, 殻表には12本内外の低い平坦な放射肋があり, 肋間には細い放射肋が認められる。これらの特徴から大桑層産の個体群はNomura(1933)により台湾の苗栗(びようりつ)層から報告され, その後の報告のないビョウリツハナイタヤガイに含められる。ビョウリツハナイタヤガイは現生のハナイタヤガイに肋の形態や数ではほぼ一致するが, 右殻はハナイタヤガイより膨みが弱く, 殻の前, 後縁付近に肋間より狭い肋をもつこと, 左殻はハナイタヤガイほど窪まず, 肋間肋が発達することから容易に区別される。これまでに, ハナイタヤガイと同定される化石は報告されておらず, 形態的類似性, 個体発生, 分布等を考慮すると本種がハナイタヤガイの祖先種であると思われる。
- 日本貝類学会の論文
- 1988-04-15
著者
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