十二指腸潰瘍穿孔に対する肝円索を用いた腹腔鏡下被覆術の1例
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概要
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症例は42歳の男性で,右側腹部痛を主訴に来院した.胸部X線検査・腹部CT検査にて腹腔内遊離ガス像を認め,内視鏡検査で十二指腸潰瘍の穿孔と診断し,腹腔鏡下に緊急手術を施行した.皮下鋼線を右上腹部に2か所刺入し,吊り上げ法で行った.臍下部(5mm, scope port),心窩部(11mm),右上・下腹部・左上腹部(5mm)にポートを挿入し,腹腔内を観察すると,十二指腸球部前壁に穿孔部を確認した.大綱は炎症のため短縮・硬化しており,大網被覆術は困難と判断した.臍側で切離し,腹壁からの遊離した肝円索を用いて穿孔部を被覆した.手術時間は120分,術後経過は良好であった.術後14日目の内視鏡検査で潰瘍はH1-H2 stageとなっていたが,Helicobacter pylori陽性であったため除菌療法を行った.術後6週目の内視鏡検査で潰瘍病変は認めなかった.十二指腸潰瘍穿孔に対する腹腔鏡下穿孔部閉鎖術において,肝円索は被覆組織として有用と考えられた.
- 一般社団法人日本消化器外科学会の論文
- 2006-05-01
著者
-
中川 康彦
湖東総合病院外科
-
小玉 雅志
厚生連湖東総合病院外科
-
柴田 裕
厚生連湖東総合病院外科
-
柴田 裕
秋田県厚生連湖東総合病院外科
-
中川 康彦
秋田県厚生連湖東総合病院外科
-
小玉 雅志
秋田県厚生連湖東総合病院外科
-
小玉 雅志
湖東総合病院
-
柴田 裕
秋田県厚生連北秋中央病院外科
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