トゥヴァルの人口と経済に関するノート : Fongafale (Funafuti) 島の場合
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概要
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(1) 赤道を南におよそ500kmから1000km、そしてフィジーからは北へ、赤道に向っておよそ1100Kmから1600Km、南緯5°から10°30'、東経176°〜180°の範囲にあって、水半球に点在している島嶼国家 (旧エリス (Ellice) 諸島) こそが本稿の主役トゥヴァルである。(2) トゥヴァル (Tuvalu) は、現在、英連邦に加盟しており、英国女王を元首とする立憲君主制を政体としている独立国で、総人口約1万人のマイクロステートである。(3) トゥヴァルの首都は、水半球にエメラルドを散りばめたような美しい9つの環礁の島々からなる列島の1つ、南緯8°25'、東経179°15'に位置するわずか2.79km2の島に、総人口の47%が生活している。1km^2当り人口 (密度) 1, 610人の小さなフナフティ島 (Funafuti Island) がそれである。(4) 筆者は、今回上述したアクセスの手順で、首都フナフティ島に足を向けた。その目的は、「南太平洋島嶼国の経済開発と環境問題」を考える上で、地球温暖化の影響等「究極的な環境問題」を抱えていると言う点から島嶼国研究の原点として、この国の実態を踏まえておくことがどうしても必要であると考えたからである。(5) 周知のように、ポリネシアの人々の主食はタロイモ (taro)、キャッサバ (cassava) そしてヤムイモ (yam) などで、トゥヴァル人も同じで、土地の人々が「プラカ」と呼ぶタロイモを主食としている民族である。しかし、海面上昇や海水の湧き水で主食のイモさえも自給できなくなり、輸入に依存せざるを得なくなっている。もっとも、近年は米や小麦粉を主食にする人々も増えている。(6) 今、トゥヴァルの人々は地球温暖化によって、その地に生きる民族として築き上げてきた最も枢要な文化である筈の食文化までもが変化の波に晒されている。(7) 全島9つの島を合わせた国土面積が、わずか25.9km^2に過ぎない島嶼国トゥヴァルは、地球温暖化と経済のグローバル化と言う二つ現実に追い詰められた南太平洋諸国の凝縮された姿を示している。その意味で、この国の実態を把握しておくことが島嶼国研究のスタートラインであると考えられるのである。
- 2005-04-26
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