ヒト歯肉由来培養ケラチノサイトへのテトラサイクリン系抗生物質およびピリドンカルボン酸系合成抗菌剤の影響
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概要
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ヒト口腔内に局所適用される抗菌剤の組織為害性をin vitro系で研究する目的で,テトラサイクリン類およびニューキノロン類をヒト歯肉由来培養ケラチノサイトに作用させ,その細胞毒性をニュートラルレッド(中性赤)・アッセイ法で定量的に調べた。検定した4種類のテトラサイクリン類の細胞毒性の強さは,デメクロサイタリン>ミノサイクリン>テトラサイクリン>クロルテトラサイクリンの順であった。中性赤の取り込みを50%減少させる各テトラサイクリン濃度を比較したところ,デメクロサイクリン,ミノサイクリン,テトラサイクリンの細胞毒性は,クロルテトラサイクリンのそれぞれ37.8倍,23.0倍,12.1倍であった。一方,検定した5種類のニューキノロン類の細胞毒性の強さは,トスフロキサテン>ロメフロキサシン≒エノキサシン≒スパルフロキサシン>オフロキサシンの順であった。トスフロキサシンの細胞毒性はオフロキサシンの17.3倍,ロメフロキサシンとエノキサシン,スパルフロキサシンの細胞毒性はオフロキサシンの3.8〜5.1倍であった。また,今回検定したテトラサイクリン類では10μg/ml以下,ニューキノロン類では6μg/ml以下の濃度であれば,ヒト歯肉由来培養ケラチノサイトに細胞毒性があらわれないことがわかった。これらの結果はヒト歯肉由来培養ケラチノサイトを用いて得られたものであるが,これらの抗菌剤を局所適用した場合の歯肉為害性と抗菌剤との関係を推測するうえで,その重要性を示唆するものである。
- 特定非営利活動法人日本歯周病学会の論文
- 1996-12-28
著者
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