中国における「工業統計」の変化と現状 : 日中比較の視点による考察
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概要
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1970年代末に「改革・開放」政策が提唱されて以降、中国の経済体制および経済制度は大きく変容しつつある。経済体制についていえば、従来の計画経済体制から市場経済体制への転換が図られている。この転換に伴い政府の役割も変化しつつある。その一つは、事前に経済計画を立案することから事後的に市場の成果を監視することである。そのためには市場の成果を的確に把握することができる統計の整備が不可欠である。とりわけ80年代後半からの高度成長を支えてきた製造業の生産活動に関する構造統計すなわち「工業統計」(CENSUS of MANUFACTURES)は、中国経済の生産構造を把握する上で重要な統計情報をもたらす。現行の中国の「工業統計」制度も幾度変化を成し遂げており、徐々に国際標準型に近づいてきている。しかし、歴史的な要因や経済社会の現実性から、中国の「工業統計」制度は一気に欧米型にはならなかった。現段階における中国の「工業統計」に「事業所」(establishment)ではなく、「企業」(enterprise)が依然として「工業統計」の調査客体になっている。公表されている統計データに事業所レベルの指標もあれば、企業レベルのものもある。さらに、「工業統計」の調査設計に際して、変化する経済社会の特徴に合わせて中国の独特な概念と調査方法も設けられている。
- 立正大学の論文
- 2003-10-30
著者
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