教育実習生によるマイクロティーチングにおけるフィードバックの効果:I
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概要
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本研究では,教育実習生への効果的なフィードバックの方法をさぐるために,10分間のマイクロティーチングを対象として,1.フィードバックを何も与えない統制群,2.指導者が授業後助言・指導する指導群,3.教生が授業後,自己の授業をVTRで観察するVTR群,4.授業後,指導者の助言・指導を受けながら,教生が自己の授業をVTRで観察する指導・VTR群,の4群の比較を行なった。各群の教生は5名で,3または4年生3〜4名からなる児童群を対象に,「ことがらの確からしさ」について,3回マイクロティーチングを行なった。児童はマイクロティーチング実施前と実施直後に,「ことがらの確からしさ」の理解度を調べるテストを受けた。教生は3回の授業がすべて終了した後に,授業についての内省報告を提出した。各授業はすべて3名の観察者と2名の指導者によって観察され,5名は各授業ごとに,1)こうした方がよいと思ったこと,2)指導すべき点で落ちていたと思われること,3)良かったこと,4)その他の問題点を,観察記録した。主な結果は次のようであった。1.教生の内省をみると,統制群では教材や児童に関するものが多かった。指導群と指導・VTR群では教授技術の改善とその成功感が特徴で,特にこのことは指導・VTR群に強い。VTR群では,緊張,ショック,やる気をなくす,という負の内省が特徴であるが,他方で,今後この経験は役立つだろうという積極的内省も生んでいた。2.観察者の観察記録をみると,指導群と指導・VTR群では,授業の回数をかさねるにつれ,改善点,問題点が急速に減少しており,指導・VTR群では,良い点も着実に上昇した。それに対し統制群とVTR群では,同じ問題点がくりかえし指摘された。3.事前テストと事後テストの結果をみると,マイクロティーチングの明瞭な教授効果がみられた。しかし,フィードバッグの方法や授業回数と教授効果の間には,なんの一貫した対応関係もみられなかった。
- 千葉大学の論文
- 1978-12-20
著者
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