抗けいれん剤長期服用患児における甲状腺機能に関する研究

概要

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抗けいれん剤を服用している外来通院児287例を対象に甲状腺機能検査をおこなった結果,抗けいれん剤長期服用患児に血清甲状腺ホルモンの低下を認めた。特に, CBZ単剤服用児では3年以上の服薬で. PB単剤服用児では6年以上の服薬で血清甲状腺ホルモンの低下を認めた。一方,VPA単剤服用児では血清甲状腺ホルモンの低下を認めなかった。血清T_4値とCBZ濃度との間に負の相関関係を認めた。血清T_4値とPB及びVPA濃度との間には相関関係を認めなかった。また,低血清T_4値例に遊離T_4,TBGの低下とTSHの増加を認めた。次に,血清T_4値が低値でなおかつ血清遊離T_4値が低値の症例24例に甲状腺剤補充療法をおこなった。甲状腺剤投与1カ月後に甲状線機能は改善し,脳波において安静覚醒関限時の後頭葉α_2及びβ_2時域の増加とθ帯域の減少を認め,聴性脳幹反応においてI波〜V波頂点関潜時の短縮を認めた。甲状腺剤投与にもかかわらずけいれん発作の増悪を認めた例はなかった。以上のことより,抗けいれん剤投与中に認められた血清甲状腺ホルモン低下例には,甲状腺剤補充療法を考慮する必要があると考えられる。
神戸大学の論文