K. 抗菌抗カビ活性を有する水溶性銀 (1) 錯体の分子設計と合成
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概要
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チオサリチル酸やチオリンゴ酸を配位子とする銀(1)錯体はバクテリア、酵母やかび類のいくつかに対して特異的な抗菌活性を示す。配位子自身には抗菌作用がなく、また銀(1)イオンには二種類のバクテリアにしか抗菌作用を示さないので、有機配位子による銀(1)錯体形成により新しい抗菌活性が発現したといえる。この事実を背景として、本研究では銀(1)-窒素結合や銀(1)-酸素結合をもつ水溶性銀(1)錯体で、幅広いスペクトルの抗菌活性もつ銀(1)錯体を、分子設計により合成することを目的とした。これまで錯体を利用した抗菌剤の開発の例は非常に少なく、また抗菌作用をきちんと証明した抗菌剤も少ないので、本研究は新規性が高く波及効果も大きい。またバクテリア、酵母だけでなくかび類にも効果が期待でき、水溶性であるので繊維、紙、木材製品への幅広い利用が考えられる。13種類のアミノ酸配位子、11種類の含カルボキシル基複素環配位子を検討した結果、アミノ酸配位子の中ではヒスチジンおよびアスパラギン酸、また含カルボキシル基複素環配位子の中ではピロリドンカルボン酸およびオキソテトラヒドロフランカルボン酸が本研究で目的とする広いスペクトルの抗菌抗カビ活性を示す水溶性銀(1)錯体を形成することがわかった。
- 神奈川大学の論文
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