ヒノキチオール金属錯体の合成、X線構造解析および抗菌活性
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概要
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天然系抗菌剤のヒノキチオール(Hhino;4-イソプロピルトロボロン)を配位子とした銀(I)錯体を合成した。Hhinoのナトリウム塩[Na(hino)]・2H_2Oと硝酸銀(I)を水中でモル比1:1で反応させ、黄色の銀(I)錯体を得た(収率56.0%)。この錯体はDMSO,CHCl_3に可溶、水、アセトン、酢酸エチル、エーテルに不溶であった。溶液中で光に対して不安定であり、単結晶X線回折測定に適した結晶は得られなかった。既に構造解析されているD,L-アスパラギン酸による銀(I)の二核錯体[Ag_2(D-Hasp)(L-Hasp)]の結合距離、結合角のデータをreferenceにして、粉末X線回折データを用いたRietveld解析で構造解析を行った。この錯体はAg_2O_4をコアとしたAg-Ag結合(2.84A)もつ二核錯体[Ag(hino)]_2であった。この錯体はバクテリア、酵母、カビに対して広いスペクトルの抗菌活性を示した。抗菌性を示さないヒノキチオールコバルト(II)錯体[Co(hino)_2(EtOH)]_2やアルミニウム(III)錯体[Al(hino)_3]・MeOHの分子構造と比較して、銀-酸素結合錯体の抗菌作用を考察した。配位子hinoは銀イオンを生体系へ運搬する役割を果たしていると思われる。
- 神奈川大学の論文
著者
-
野宮 健司
神奈川大学理学部化学科
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清水 克也
Specialty Chemicals Research and Development Center Nobeoka Department, Asahi Kasei Corporation
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清水 克也
旭化成株式会社
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清水 克也
Specialty Chemicals Research And Development Center Nobeoka Department Asahi Kasei Corporation
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