モルヒネからフェンタニールへの変更による進行癌患者の意識レベルの改善
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概要
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癌疼痛治療の主体となる鎮痛薬はモルヒネであるが,傾眠のために十分な増量が困難になる場合がある。一方,フェンタニールはモルヒネの約100倍の鎮痛効果を持ったオピオイド鎮痛薬であり,代謝物に活性がなく,代謝物の蓄積などに伴う影響を受けにくい。今回,モルヒネの増量過程で傾眠が問題となった症例で,フェンタニールの持続静注に変更し,傾眠にどのような変化があるかを検討した。持続静注のモルヒネとフェンタニールの変換比は1:100を基準とした。モルヒネ徐放錠の投与例では,1/2量をモルヒネの静注量とした。傾眠の程度はRamsay Sedation Score (RSS)の6段階評価で行った。モルヒネの平均投与量は83.2mg,フェンタニールは900μgであった。RSSは全例で改善し,平均4.71から2.35(p<0.05)と有意に改善した。モルヒネの投与に伴う傾眠が問題となった場合,フェンタニールの持続静注に変更することで傾眠を改善することができた。今後,全身状態の低下した進行癌患者の疼痛治療においてフェンタニールの使用は有用であると考えられた。
- 1998-02-28
著者
-
的場 元弘
北里大学医学部麻酔科
-
外 須美夫
北里大学医学部麻酔科
-
佐瀬 寿美
北里大学医学部麻酔科
-
三谷 浩之
北里大学医学部麻酔科
-
的場 元弘
国立がんセンターがん対策情報センターがん情報・統計部がん医療情報サービス室
-
外 須美夫
北里大学 医学部 麻酔科学教室
-
外 須美夫
北里大学 麻酔科
-
外須 美夫
北里大
-
外 須美夫
九州大学 大学院医学研究院麻酔・蘇生学
-
岩垣 潤子
北里大学医学部・麻酔科学
-
黒岩 政之
北里大学医学部・麻酔科学
-
黒岩 政之
北里大学医学部麻酔科学
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