マウス固型腫瘍に対するシスプラチンと放射線との併用効果の検討

概要

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Sarcoma 180固型肉腫およびEhrlich固型癌に対するシスプラチン(CDDP)と放射線との併用効果を,我々の考案したCDDP毒性の軽減をはかる STS-rescue (Sodium thiosulfate rescue)をも混えて定量的に検討した。Sarcoma 180固型肉腫に対するCDDP,放射線の最小有効量を測定したところ,各19.5mg/kg,10375 radとなり,単剤では致死量以上必要であったが,CDDP 9mg/kg ip投与後,24時間目に1000 rad 1回照射した群で相乗効果を得ることができた。Ehrlich固型癌に対し最小有効量は各13.8mg/kg,2892 radとなりSarcoma 180固型肉腫より感受性は高いことが判明したが,CDDP ip投与24時間後に放射線を併用した場合,各3,6又は9mg/kgに2000 radおよび9mg/kgに1000 rad 1回照射した群で相乗効果が認められた。STS-rescueは,CDDPと放射線併用群での毒性死を減少させる傾向があり,副作用の軽減に有効なものと思われた。フローサイトメトリーによる治療後のSarcoma 180固型肉腫の細胞動態の検討ではCDDP 9mg/kg ip投与後18〜42時間目にG_2+M期への集積が認められ,又,各群では放射線1000 rad単独照射を除き90時間目まで6C〜8Cの変性細胞が出現するなど細胞レベルでも併用効果が明らかにされた。
北里大学の論文
1986-12-31