体液浮遊細胞の死後変化ならびに法医学への応用 : II.屍心嚢液浮遊細胞の形態的変化とTADとの相関性
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概要
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心嚢液浮遊細胞の死後変化を形態学的に検索した。心嚢液は家兎放置実験例および北里大学法医剖検例から採取し,スライド標本作製後,著者考按による規準に従って該浮遊細胞をType I(反応性中皮類似細胞),Type II(組織球類似細胞),Type III(リンパ球類似細胞)およびothers(その他)に分類し,その出現頻度と死後経過時間(TAD)との相関性を検討した。家兎実験例およびヒト解剖例における各種浮遊細胞の経時的出現頻度の変化は類似しており,Type IはTAD 5〜6時間までに顕著な減少を示し,Type IIIおよびothersはTADの経過と共に増加を示した。Type IIはTAD 4〜8時間位まで増加を,それ以降減少を示した。以上の浮遊細胞出現頻度の変化の中で,特にTAD推定の指標として有効と考えられたのはType Iの減少傾向とType IIIの増加傾向で,両者の傾向はほぼ規則的で,しかも数量的関係がTAD 5〜10時間位のところで逆転した。両Typeの識別は主として胞体および核の長径で判定できるので,比較的容易であり,TAD推定の根拠としてかなり実用性がたかいものと思考された。
- 北里大学の論文
- 1983-10-31
著者
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