屍体液中におけるミオグロビンの法医診断学的応用
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概要
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屍体液中におけるミオグロビン(Mb)の消長に関して,急性心不全群(主として虚血性心疾患例)を含めた各種死因群において死後経過時間(TAD)別に検討し,その法医診断学的応用価値について検討した。屍体液中におけるMbの定性的検索結果では,尿中Mbの法医診断学的意義は大きく,急性心不全例ではMb陽性率が最もたかく,特に虚血性心疾患例では高値を示した。それ以外の尿中Mb陽性例は,ほとんどが外力による筋組織の挫滅がみられた例や焼死のような高温環境におかれた例,あるいはTADがかなり経過した例(24時間以上)であった。またMb陽性を呈した屍血液および心嚢液におけるMbの定量的検索結果では,虚血性心疾患例および焼死例でその他の対照群に較べ高値を示し,特に心嚢液中Mbの定量的検索では有意(p<0.001)に高値を示した。以上の成績から,屍尿中Mbの定性的検索ならびに心嚢液中Mbの定量的検索は法医診断学的応用が充分可能と思考された。
- 北里大学の論文
- 1984-02-29
著者
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