カフカと解釈学的現象学(下)
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概要
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フッサールの知覚の分析によって明らかにされた意識の「顕在性」「潜在性」「地平の解明」という考え方は、ディルタイの「客観的精神」「解釈学的循環」と共に、ハイデッガーの解釈学的現象学の基盤を成しているが、ハイデッガーは両者がまだ脱却できていなかったカント的「主観-客観」構制の枠を越え、「主観」に代わるものとして「現存在」を打ち出す。この現存在の存在論的分析を通して、「解釈学的循環」は積極的な意味をもつものへと転換され、ガダマーの「影響作用史」へと引き継がれて、リクールやイーザーらの現代解釈学の母胎となる。そこにおいて、カフカ文学の多義性の原因である作品内の「空所」は、読者の先入見を一時中断させ、新たな理解を生み出す産出的契機と見做されている。
- 北海道情報大学の論文
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