従属節としてのトキ : 初級におけるトキ節をめぐって
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概要
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初級に出て来る従属節の中に,時間を表す従属複文のトキ節がある。そこで取り上げられている内容は,かなり複雑なものであるにもかかわらず,その導入および指導内容はきわめて簡単なものになっている。しかし,従属複文を正しくとらえるためには,従来の文型による分類から見ただけでは文法的側面が明確にできない。そこで本稿では,文法的側面を明確するために,必要最低限の範囲でトキ節の分類を細かくした上で観察・分析し,筆者が明らかにした点を各分類項目ごとにまとめた。トキ節の分類項目によって用法や特徴はそれぞれ異なるが,従来の研究に付け加える主要なポイントのうち,全体に共通するものは,以下の通りである。1)トキ節でも主節でも,選べる語彙とそうでないものがある。2)トキ節と主節との関係で,テンスも,選べる語彙も変わる。3)個人的なことか,社会的なことかで,文型が異なる場合がある。4)トキ節と主節の述語が点的であるか線的であるかによって,意味も用法も異なる。5)非日常的なでき事か日常的なでき事か,非日常的な場所か日常的な場所かによって,時のとらえ方が異なる。また,それに加えて,本稿では分類項目別に明らかになった細かい文法的側面にも言及した。文法を日本語教育に生かすという視点から見ると,これらの細かい文法的側面も,より具体的な内容であるがゆえに大切であると筆者は考える。
- 岐阜大学の論文
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