講読を通じての異文化理解 (その一)
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概要
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さまざまな文化的背景や学習目標を持つ上級レベルの講読クラスにおいて、テキストは共通の関心事である「日本文化」を扱うことが少なくない。このことは、文化的な摩擦を事前に回避するという名目で、結果として一方的な同化を働きかけてしまう危険性を常に含んでいる。我々は「日本文化」を講読の授業で扱う際に、このことに充分に注意を払わなければならない。小論では、異文化を画一的、固定的なものとして学ぶのではなく、多角的且つ柔軟に理解する方略を身につけられるような講読のあり方を、実践に基づいて追求した。このことは、沖縄を留学先に選んだことの意義を確認するプロセスともなりうる。日本と沖縄の現状を対比させることで文化の多様性を理解し、その延長として各受講生の出身地域について書かれたテキストを批判的に読むことに繋げられるからである。こういった内容の文章を読むことは、異文化環境のさなかにある学習者にとって自らの体験を振り返りつつ参照し、それを日本語によって言語化することを意味する。そのため、かなり難易度の高い文章であっても、強い関心を持って取り組み、理解することが可能となる。
- 琉球大学の論文
著者
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