リンパ節転移陽性早期胃癌症例の臨床病理学的検討 : 内視鏡下粘膜切除術の適応基準について

概要

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胃癌に対する縮小手術あるいは内視鏡治療の適応を検討する目的で早期胃癌症例171例を対象として臨床病理学的検討を行った。m癌は111例であり,sm癌は60例であった。このうち組織学的にリンパ節転移を認めた症例は,m癌は3.6%であり,sm癌は15%であった。リンパ管侵襲からみると,リンパ節転移症例は,ly_0152例中5例(3.2%),ly_116例中7例(44%),ly_23例中2例(67%)であった。肉眼型では,non-depressed typeでは34例中1例(2.9%)あるのに比べて,depressed typeでは137例中12例(8.8%)に転移を認めた。組織型では,分化型では109例中5例(4.6%)に転移を認め,低分化型では62例中8例(12.9%)に転移を認めた。最大腫瘍径では,2cm以下では5.0%,2.1cmから4.0cmでは7.0%,4.1cm以上では20%であった。以上より,内視鏡治療の適応は,(1)最大腫瘍径2cm以下,(2)肉眼型はnon-depressed type,(3)組織型は分化型の症例とすることが原則と考えている。但し,適応基準は,個々の症例の全身状態に合わせて弾力的に運用すべきである。
千葉大学の論文
1996-10-01