『詠歌之大概』諸抄採拾 (二) : 霊元院抄
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概要
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『詠歌之大概』-ごく小規模だが、藤原定家の創作原理を考える上では最も重要な歌論書の一つである此の書は、よく知られている通り、後代、和歌のみでなく巾広く影響を及ぼしている。その影響の一つに註釈書類の領域がある。中世・近世を通じて累積されてきた『詠歌之大概』註釈書類を個別に検討するとともに、此の書をめぐる解釈史・享受史を遠望する作業を試みてみたい。本稿では、江戸初期の『詠歌之大概』註釈書類にあって、一つの圏域を形作っていたと思われる仙洞における註釈的活動に注目したい。直接とり上げるのは元禄八年 (一六九五) 霊元院の行なった講釈にかかわるテキストである。同講釈をめぐるテキストに <手控本> <聞書本> と称することのできる二類が存在し、<聞書本> は更に少くとも四種に分かれること、両類・各種の性格や意義の吟味、行なわれた講釈の折と場、霊元院の論述の内容とその位置等を検討する。終りに <手控本> の一本である東山御文庫蔵本を、允許を得て翻刻する。<聞書本> の本文については次の折を期したい。
- 1989-03-20
著者
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