技術選択と特許の保護範囲(<特集>経済法・経済規制と産業組織)
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概要
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本稿の目的は,特許範囲の変更が,企業の技術選択にどのような影響を与えるかを,Mills and Smith (1996)の論文を援用しつつ分析することである.2企業が,第一ステージで旧技術と新技術のどちらを採用するかを同時に選択,第二ステージでクールノー競争を行なうというモデルを構築した.その際,新技術がdrastic innovationであるかどうかを考慮した.本稿で得た主な結論は次の通りである.(1)特許の保護範囲の拡大は,drastic innovationの場合,R&D投資企業数を増加させることはあるが,減少させることはない.non-drastic innovationの場合,R&D投資企業数を増加させることも減少させることも起こりうる.(2)経済厚生を比較した場合,特許範囲の拡大が厚生水準を増加させることはない.(3)経済厚生の観点から見ると,特許範囲の狭さ広さに関わらず,費用低下と投資費用の水準如何では,投資企業数が過少になることも過剰になることもある.(4)特許範囲の拡大によって社会的に望ましい投資企業数を達成できる場合は極めて限定的である.
- 東京大学の論文
- 2005-03-10
著者
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