小学校教職員の食教育への認識、実践および課題
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概要
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食習慣の形成時期である児童期を対象とした食教育を考えていくにあたり、多様な教育効果をもたらす学校教育において、教職員の食教育への認識、実践および課題について調査し、現在の指導体制を明らかにして、今後の食教育の在り方について検討することを目的とした。調査対象は、栃木県内の小学校全433校から無作為に90校(教員)、210校(学校給食関係者)を抽出し、在勤する教職員にアンケートの協力を要請した。教員は72校(回収率80.0%)880名より、学校給食関係者は135校(回収率78.5%)135名より回答を得た。その結果、以下の点が明らかとなった。1)教員は、食教育を実施する際に主に1年生と5年生に対して注目したいと回答した。2)食教育の実施経験は男性よりも女性の方が多かった。しかし、その関心度は、食教育の実施経験に関わらず、「少しは関心がある」と回答するものが最も多かった(男性50.6%、女性53.1%)。3)食教育の実施経験を「何度も実施したことがある」と回答するものほど、その関心度は高かった。4)食教育に関心が低い理由としては、時間・予算などの制約が主たる理由とされていた。5)食教育で過去に実施したテーマは、1年生は「給食」、2・4・5・6年生は「健康・バランス・栄養」および3年生は「食への問題点」が多く実施されていた。6)学校給食関係者(主に学校栄養士)における各教科との連携による食教育は、「家庭科」で実施した割合が最も高かった。また、食に問題を抱える児への個別指導や食教育に必要な資料作成では、非自校給食よりも自校給食の方が、教員や学校との連携が図りやすい傾向があった。以上の事から食教育に関心がある教員が多かったため、今後は関心を行動変容へ導く必要があると思われる。さらに、各教科との連携は家庭科での実施が高かった事から、今後さらに家庭科の教科観を踏まえた内容で、学校教育全体の食教育と融合させる方策を検討する必要性を感じた。また、自校よりも非自校の方が、学校教育全体での食教育を実践し難いという結果から、給食方式の違いにより学校間の食教育の体制に格差が拡大化されないような方策を検討する必要があると思われる。
- 2005-04-01
著者
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