市民支援型農業において地域通貨の果たす役割
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概要
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地域通貨の農業への適用はこれまでコミュニケーション機能を活かした信頼関係を構築する道具として実践され,生産者にとって積極的な経営資源や収入として考えられる事は無かった。本稿は地域通貨の歴史的発展から本質的な機能の拡大を分析し,地域通貨の発展段階を明らかにするとともに,その発展段階を事例に適用する事で,地域通貨が市民支援型農業を構築する可能性を論じた.歴史的に拡大してきた機能とは (1)市場とは異なる価値基準を通貨の裏づけとすることで労働の不平等と公正な分配を克服しようとした (2)市民コミュニティ間でボランティアサービスや商品を循環させる事で自立的な地域経済を確立しようとした (3)地域通貨のコミュニケーション機能を使ってコミュニティを再生または創出しようとしたことであり,そこから導かれる地域通貨の発展段階を農業と地域通貨のかかわりについて当てはめてみると (1)農業を軸とした市民コミュニティを創出する段階 (2)様々な市民コミュニティのネットワークに農家が参加し,生産物とボランティアサービスが交換されるようになる段階 (3)食と労働の循環を通じて地域住民と農業者が支えあう段階,と見ることができるのである.
- 千葉大学の論文
- 2005-03-31
著者
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