句動詞に見られる同義性 : get及びgoの事例
スポンサーリンク
概要
- 論文の詳細を見る
Jespersen(1946)は「世界のほとんどすべての言語において,go,go awayの意を表すか,俗語で同様の意味をもつ語(句)は,転義されて<死ぬ>の意をもつ」と指摘し,go away,peg outなどの句動詞を挙げている.小論では,動詞get及びgoに導かれる句動詞に対応する同意語(句)・類義語(句)の用例を中心に,同義性のメカニズムを探った.CCPVには以下のような情報が見られる(引用した解説の前に,●印と通し番号を付して,各句動詞の弁別的特性を処理しやすくした):<2>●Pursue is a more formal word for get after.<3>●Get on means almost the same as get ahead.例<2>は,<get+副詞[前置詞]≒1語の動詞>のタイプである.この解説から固有素性を抽出し,<get after+[+more formal]=pursue>,ないしは単に<get after=pursue>のように簡略化して特性を示した.getを中心に見た場合,例<3>におけるように<get on≒get ahead>の関係があり,このタイプを小論では<AxAy型>と仮称した.次のようなget以外の動詞と類義となる<AxBx型>のタイプでは,不変化詞を中心に動詞を比較検討した:<18>●Call in means almost the same as get in.<37>●Fall to is a literary expression for get to.文脈素性に関しては,ODPVから得た主語・目的語に関する情報を整理し比喩性について寸言した.句動詞にも字義性と比喩性の対立関係がある:A)The police went into the house.B)The police went into the matter.英語教育の現場においては,「下線部はそれぞれ1語で,<≒entered><≒investigated>と書き換えられる」との解説に止めるべきであろう.「A)は<verb+preposition>でB)は<verb+adverbial particle>である」との解説は,上位生を対象としたものであろう.後続前置詞の難易さに関しては,Bohger(1971)の主張を引用したが,小論で波線を施した例文の扱い方は,論じ残された問題である.
- 千葉商科大学の論文
- 2004-03-31
著者
関連論文
- 形容詞の類義語の研究 : 日英語の比較の観点から(第2)
- 形容詞の類義語の研究 : 日英語の比較の観点から
- 「句動詞の研究」(「国家戦略」としての外国語教育-そのあるべき姿を求めて-)
- 動詞の類義語の研究 : 日英語の比較の観点から
- 英語教育と同義性のメカニズム : JACETの揺籃期と現在(英語教育の到達目標-その基準を求めて-)
- 句動詞に見られる同義性 : get及びgoの事例
- メタファーの図式化(西昭夫先生退職記念号)
- 英語における動詞「震える」の多様性 : その情動的要因の分析
- 語法研ワークショップ
- 嫌悪感の諸相--動詞hateとその類義語の事例
- 第12回国際応用言語学会世界大会・関与録--日本学術会議委嘱・組織委員の職務を終えて
- 動詞の類義語間に見られる強さの程度の差--Surpriseとその類義語の事例
- 型と型における前置詞の互換性(2)
- 型と型における前置詞の互換性(1)
- 英語教授法の多様性と大学英語教育学会(JACET)の使命
- リスニング・テストと筆記試験との相関関係--聴解力養成のための一試案
- 吉井徹郎先生の人と学問 (吉井徹郎先生退職記念号)
- 婉曲語法の一断面
- 「痩せた」をめぐる英語の形容詞の類義語
- 句動詞について