<論説>英語における動詞「震える」の多様性 : その情動的要因の分析
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概要
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小論は,第12回国際応用言語学会・世界大会(1999年)のシンポジウムで筆者が英語で発表した「類義語間に見られる強さの程度の差」及び,この中間報告後に刊行された『動詞の類義語の研究-日英語の比較の観点から-』(2000年)に論考の基盤を置いている。日本語の「震える」に相当する英語の類義語に関する情報を,人・体の部分・声のみに限定し,<SHAKE(震える)に類する動詞:Shake, Tremble, Quake, Quiver, Shiver, Shudder>の自動詞としての特性を比較した。一般辞典・類義語辞典の多くは,このセット内の類義語をshakeないしはtrembleを一般的な語として基本語・中核語に定め,この2語をベースにして解説している。一例をNODEから引用してみよう(先行研究には見られぬアプローチであるが,基本語を大文字で示してある。下線部は程度・様態を表す副詞を,波線部は「震え」の情動的要因を,イタリック体はセット内の類義語を,それぞれ示す):<"SHAKE = TREMBLE uncontrollably from a strong emotion such as fear or anger / TREMBLE = SHAKE involuntarily, typically as a result of anxiety, excitement, or fraility / quake = SHAKE or shudder with fear / quiver = TREMBLE with sudden strong emotion / shiver = SHAKE slightly and uncontrollably as a result of being cold, frightened, or excited / shudder = TREMBLE convulsively, typically as a result of fear or repugnance."(NODE)>.震えの要因は肉体的なものと精神的・感情的なものに大別され,動詞が特定される傾向はあるが,喜怒哀楽の情と随伴感情は複雑で例外が認められる事例もある。10人の英語母語話者を対象としたアンケートの集計結果と,大学英語教育学会(JACET)・語法研究会の共同研究者との意見交換から得た示唆も小論に反映させてある。
- 千葉商科大学の論文
- 2003-03-31
著者
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