術中捺印細胞診が有用であった腎癌併発の肺クリプトコッカス症の1例
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概要
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肺クリプトコッカス症の画像所見は多彩で,肺癌,肺膿瘍,肺結核などとの鑑別が問題となることが多い。今回,我々は肺腫瘤の術中捺印細胞診で本疾患を推定し得たので報告する。症例:44歳,男性.暗赤色の凝血塊が排尿時に見られ血尿が持続。腹部エコー,CTなどの所見から左腎腫瘍の診断にて左腎・尿管全摘術を施行。左腎腫瘍の術前精査で右肺下葉に1cm大の小結節を認めており,画像上では原発既腫瘍,転移性腫瘍あるいは結核などとの鑑別が困難で,右肺下葉部分切除術が施行された。肺腫瘤の術中捺印細胞診で明瞭な莢膜は見られなかったが,オレンジ色調の大小不同を伴ったクリプトコッカスと考えられる菌体を認め,墨汁法による確認もできた。その後,PAS,Grocott染色の組織診で診断が確定し,真菌の同定にも至った。結論:術中凍結切片による菌体確認が困難な場合,術中捺印細胞診の併用は,診断精度の向上に繋がると思われ,本疾患の診断に有用であった。
- 熊本保健科学大学の論文
- 2004-03-15
著者
-
北野 正文
熊本保健科学大学衛生技術学科
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磯崎 将博
天草地域医療センター検査部
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川端 伸次
熊本保健科学大学衛生技術学科
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中島 康雄
天草地域医療センター検査部
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鶴田 潤二
高田病理診断研究所
-
川端 仲次
熊本保健科学大学
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川端 伸次
河浦町立病院
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北野 正文
熊本保健科学大学 保健科学部 看護学科:保健科学部 衛生技術学科
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