血中ヘモグロビン濃度及び血中乳酸濃度に対する鉄摂取の影響(健康栄養学科共同研究,栄養研究分野)
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概要
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ヘモグロビン(Hb)の構成要素である鉄は、ヒトにとって不可欠な栄養素である。Hbは全身に酸素を供給する役割を担っており、鉄の摂取不足は、結果として筋肉への酸素供給の不足を引き起こす。一方、長距離走者のトレーニング効果を評価する生理的指標として血中乳酸濃度が主に用いられているが、鉄の摂取状況と安静時血中乳酸濃度の関係はほとんど明らかとなってない。そこで本研究では鉄欠乏、あるいは鉄過剰食を2週間与えた発育期ラットを用いて、Hb濃度及び血中乳酸濃度に対する鉄摂取の影響を検討した。鉄欠乏群の体重変化は対照群と比し、小さくなる傾向がみられた。実験最終日の肝臓重量は有意(p<0.05)に低下し、腎臓、精巣も低下傾向を示した。一方、心臓重量は有意(p<0.01)に増加し、心肥大が認められた。欠乏群のHb濃度は経日的に減少し、実験最終日には貧血状態を示した。また、血中乳酸濃度は対照群に比較して約2.5倍の上昇が認められた。逆に、過剰群ではHb濃度は6日目より著しく上昇し、血中乳酸濃度は低下傾向を示した。以上より、長距離走者における鉄の摂取不足は血中乳酸濃度の上昇をきたすため、身体持久力の低下を引き起こす可能性が大きく、身体能力を維持する上で日常の食生活における十分な鉄の摂取が不可欠であることが示唆された。
- 2005-01-31
著者
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