「戦争花嫁」と日系コミュニティ(III) : ステレオタイプに基づく排斥から受容へ
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概要
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前々稿(『嘉悦女子短期大学研究論集』通巻78号、2000年)において、「日本で作られた『戦争花嫁』のステレオタイプがアメリカでも踏襲され、差別、偏見が増幅された」とする本論文での仮説を実証するため、特殊慰安施設協会(RAA)やRAA廃止後の街娼などといった性を巡る状況や戦後日本の混乱期の社会状況を伝える日本の新聞、雑誌の報道を中心に検証した。また前稿(『嘉悦大学研究論集』通巻80号、2001年)においては、日本の状況や進駐軍兵士と日本女性の性を巡る報道がアメリカの日系社会のマスコミにいかに報道され、日系社会における「戦争花嫁」のステレオタイプ形成にどう影響を与えたのかを論考し、更に「戦争花嫁」と係わり合いの多かった日系コミュニティとその特質について、日本社会との類似性と日系コミュニティのもつ排他性を中心に「戦争花嫁」との関連の中で考察した。本稿においては「日系コミュニティにおいて『戦争花嫁』はいかに受けとめられてきたのか」ということについて、「戦争花嫁」の多くが入国した1950年代の日系コミュニティ問題との関連の中で論じた。特に1950年代にキムラらによって行われたハワイの調査事例を検証し、日系コミュニティにおける「戦争花嫁」問題の難しさと原因について考察した。最後に日系コミュニティにおいて「戦争花嫁」がこれまで果たしてきた役割を再評価し、日系コミュニティに正当な形で受け入れられる為にも、ロサンゼルスのリトルトーキョーにある「全米日系人博物館」が積極的にこの問題に取り組んで行くことが求められているとして、同館の果たすべき役割の重要性を指摘した。
- 2002-03-30
著者
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