「戦争花嫁」と日系コミュニティ(II) : ステレオタイプに基づく排斥から受容へ
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概要
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「日本で作られた『戦争花嫁』のステレオタイプがアメリカでも踏襲され、日系コミュニティにおいて差別、偏見が増幅された」とする本論での仮説を実証するため、前稿では駐留軍兵士を慰安する目的で設立された特殊慰安施設協会(RAA)やRAA廃止後の街娼などといった性を巡る状況や戦後日本の混乱期の社会状況を伝える日本の新聞、雑誌の報道を中心に検証した。本稿では前稿で示したこうした日本の状況や進駐軍兵士と日本女性の性を巡る報道が日系社会における「戦争花嫁]のステレオタイプ形成に及ぼした軌跡を探る。また「戦争花嫁」と係わり合いの多かった日系コミュニティについて、その特質のうち日本社会との類似性と日系コミュニティのもつ排他性を中心に「戦争花嫁」との関連の中で論考した。日本占領期に1,300人もの日系二世兵士が日本人女性と結婚し、1952年以降も二世と結婚する日本女性も多かった。また日系人以外の兵士と結婚した日本女性の場合でも、その居住地域が日系コミュニティに隣接していることが多く、「戦争花嫁」研究にとって日系コミュニティとの問題を考察することは不可欠である。尚、次稿において「日系コミュニティにとっての『戦争花嫁』」について論じ、現在抱える「戦争花嫁」と日系コミュニティの両者に関わる問題、及び今、日系コミュニティに求められるものについて問題提示を行う。
- 2001-12-21
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