北海道における子どもの心の健康問題に関する報告 : 教師から見た子どもの変化と保護者の変化
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概要
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現在、子どもの心の健康問題が課題とされている。子どもの心の健康問題への支援の確立のためには、まず、適切な現状認識が必要である。本報告では、北海道内の全ての小学校・中学校の教職員を対象とした調査から、(1) 子どもの様子を明らかにする。(2) 子どもの心の健康問題を検討する。(3) 保護者の変化について明らかにする。(4) 子どもの心の健康問題の実態と保護者との関わりについて明らかにする。(5) 子どもの心の健康問題が何を意味するのかを検討することを試みた。その結果、子どもの心の健康問題に関し、以下のようなことがらを把握することができた。(1)「情緒不安定な子ども」「幼稚な子ども」「自己抑制のできない子ども」、「集中できない子ども」「同じ集団の子ども心を通わせることのできない子ども」が多く見られた。(2)「『他者とうまく関係のとれない』『集団意識の弱い』孤立する子ども」という子どもの心の健康問題を指摘することができた。(3) 保護者の変化として、「子どもに対して過保護」「わがままを放っておく」「友達関係のような親子関係を好む」家族としての集団意識の薄い親等が多く見られた。(4) 保護者の態度が子どもの変化に直接的に影響を及ぼし、また、それが子どもの心の健康問題と結びついていると考えられた。しかし、保護者の変化の背景には、社会の今日的な大きな課題が潜んでいる。(5) 子どもの心の健康問題は、ひとつには、「子どもを取り巻く人間関係」の緊張状態を示しているが、不自由で歪な人間関係においても、「友達と一緒にいたい」という子どもの強い願いを感じとることができる。今後の最も大きな研究課題は、子どもの現状を悲観的にとらえるのではなく、子どもがこの社会の中でどう生きようとしているか肯定的に捉え、読み取ることにある。
- 北翔大学の論文
- 2004-12-20
著者
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