ホワイトカラー・エグゼンプションに関する一考察
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概要
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本稿では, アメリカにおけるホワイトカラー・エグゼンプション (一定の要件に当てはまるホワイトカラーに対して, 法令上の労働時間の規制から適用除外とする制度) の特徴を分析し, アメリカと日本の現状を比較した上で, 日本におけるこの制度の導入に向けた動きや先行研究を踏まえて, 今後どういった点を検討していかなければならないかについて論点整理を試みた。アメリカでこの制度が機能している背景には, 流動的な外部労働市場, 早期選抜などのキャリア形成, 職務の成果を反映した賃金の決定方法・計算期間などといったアメリカ特有の労働事情がある。これに対し日本では, 現状労働時間の適用除外の対象者は少ないが, 経済界を中心に, 生産性向上を図るためにホワイトカラー・エグゼンプションを導入しようという動きが高まっている。政府も規制緩和の流れの中でこの制度の導入への動きを強めつつある。これに対し労働界は批判的であり, 学界では労働法学分野での見解は分かれている一方で, 経営学や経済学分野からは肯定的な見解が出てきている。しかし, 現在でも不払い残業が多く見られるなどといった問題を抱えている中でこの制度を導入するとすれば, 労働時間規制の重要性と規制方法の再検討, 仕事の裁量性の確保, 労使の対等性の確保, キャリア形成の視点の導入, アメリカ以外の制度の検討といった点に目を向ける必要がある。
- 早稲田大学の論文
- 2005-12-20
著者
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