資本と利益の区分 : 平成13年6月商法改正の功罪
スポンサーリンク
概要
- 論文の詳細を見る
平成13年6月商法改正のうち法定準備金に関する規定は、会計学の根本概念である資本と利益の区分と真っ向から対立するものである。資本は株主等から拠出されたものであり、元本として企業内に維持拘束されなければならない。それに対して、企業活動の成果である利益は果実であるから、配当その他として処分可能な部分である。これは会計学を一定程度理解したものであれば、当然のものとして受け入れられている。ところが、今回の商法改正はこの重要な概念をあっさり捨て去ったのである。その論拠というのが、資本準備金が巨額でありながら、配当財源が乏しい企業が存在することにあるというのである。余りに企業サイドに立った商法改正と断定せざるを得ない。現下のように経済状況の厳しい時こそ、このような商法改正を批判的に考察し、企業の実体資本維持の重要性を強調することが要求される。このことが、暴挙と断言せざるを得ない商法改正を正す切っ掛けとなることを切望するものである。
- 桜美林大学の論文
著者
関連論文
- 会計理論と企業会計基準との乖離 : 資本及び利益概念の歪みの是正へ向けて
- 会社法を巡る諸論点 : 会計理論と新会社法規定の差異を中心として
- 公正価値会計の意義と限界
- 包括利益概念否定論
- 利益概念を巡る諸論点
- 資本と利益の区分 : 平成13年6月商法改正の功罪