家庭用固形燃料と煉炭工業
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概要
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薪炭を家庭並に小規模の營業用燃料として今後も引續き使用するは特殊の場合を除くの外我國情は之を許さぬ石油、瓦斯又は電熱の類は便利にして且つ經濟的に安價なりとするも我家庭に普及せしむろには到底其の供給力が伴はぬ従て固形燃料の使用は我國の現状に必要的である我國は歐米に比し優良なる家庭用天然固形燃料に乏しきの故を以て有煙質瀝青炭類の使用が漸次其の量を増すとともに輸入による無煙炭の使用も〓からんとして居る一概に家庭燃料と云ふも臺所用には稍や短時間に高熱を應用する場合多く長時間に亘り低温を發揮せしむろ煖房用の熱とは其の熱源を異にする事が利益が多い粉状無煙炭を主原料とする煉炭は本邦獨特の製法によるもの多く適當なる燃燒用器具によりて厨爐にも煖房にも適せしむる事が出來又養蠶用乾燥用の如き營業にも使用せられ漸次木炭代用品となり従て煉炭の製法にも幾多の種類が出現して來た事務所、學校、商店等に於て瀝青炭を不用意に煖房用としたる弊害は漸次認められ識者間には塊状無煙炭並に骸炭類を用ふるもの漸く増加し輸入品なるが故比較的に高價なる一噸六〇圓位の無煙炭も之に相當するストーヴを用ふれば貳〇圓の有煙炭を在來のストーヴに使用するより却て有利なる事が知らるヽ様になつた結果、安價なる粉状無煙炭を原料とする煉炭又は有煙質瀝青粉炭に加工して無煙質としたリグノ煉炭が煖房並に厨爐方面に應用の途を拓れたと共に下向通風燃燒法應用の特殊ストーヴを用ふれば塊状瀝青炭も無煙燃燒の煖房用たるに適する事が判つた要するに燃料には餘り惠まれざる我國も其の自然の歸趨として國情に適すべき各種の加工方法が案出せちれたるは大に愉快とする所である
- 1925-12-20
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