鎌倉期悪党禁令中に現われる「傍輩」の語義の再検討
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概要
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鎌倉時代の前半、鎌倉幕府は、武家の基本法典とされた「御成敗式目」以下の追加法令の中で、「傍輩」の語を幾度も使用していた。武家法の中に現われる傍輩の語は、主に〈共に主君の鎌倉殿(鎌倉幕府将軍)に仕える同僚の御家人〉の意味を持っていた。しかし、例外もあり、必ずしも常にこの意味で傍輩の語が使用された訳ではなかった。元寇の時期以後の鎌倉時代後半期に大量に書かれた悪党や悪行人の罪科請求文書を検討すると、傍輩の語には、特に鎌倉幕府の御家人に限定された意味はなく、筆者が以前推測した「悪党仲間」に限定された意味も持たず、広く同僚や同輩の意味で使用されたに過ぎなかった。これらの文書中に多く現われる「為傍輩向後」または「為向後傍輩」の語句を検討すると、傍輩が現実に悪行を働いた悪党または悪行人である公算が非常に小さいことが判明したので、傍輩を「悪党仲間」と捉えた筆者の以前の解釈は、修正する必要が生じたと考える。
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共栄学園短期大学 | 論文
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