<国立科博専報>山形県新庄層群の花粉層序
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概要
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山形県新庄盆地南部に発達する新庄層群の花粉分析を行った。その結果, 次の諸点が明らかになった。 1. 新庄層群の花粉組成は, Taxodiaceae, Alnus, Liquidambar, Nyssa などの低地林植物の花粉の多産を特徴とする。 2. 当時の低地林の背後には, Fagus を主体とした山地林が存在していたと考えられる。この Fagus の花粉と低地林植物の花粉との混在の程度は, Taxodiaceae, Nyssa, Liquidambar の順に高い。すなわちこの順により低温に対する適応力があったと考える。 3. 新庄層群の花粉群集は, その産出の特徴と層序との関係から, 5つの花粉帯に区分できる。このうち, とくに Liquidambar-Nyssa 帯は明瞭に区分できるので, この下限の層準を「折渡遷移面」と命名した。 4. 本地域の Liquidambar-Nyssa 帯をタイプとし, 新第三系の一連の花粉層序の中に D 帯(仮の名称)を設定した。この D 帯はそれ以前の一連の冷温な時期の後にあって, はじめて顕著な温暖化が認められる時期である。なお, D 帯後は, いわゆる Pre-glacial Pleistocene の古気温の変化がくり返された時期の花粉群集からなる。 5. D 帯の下限である折渡遷移面は, 同一時間面としての意味をもつ。すなわち, この面は, 男鹿半島では北浦層の下位, 新潟県(八石地域)では灰爪層の下位にそれぞれ存在する。 6. D 帯は大型植物群の新庄型植物群(TANAI, 1961)に対応する。三徳型と新庄型植物群との境界層準は, 折渡遷移面であると考える。
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