<原著> A Fairly Honourable Defeatにおける善と悪の相克
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概要
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"人間は人から羨まれたり賞賛される人物に欠点を見つけたいものだと,悪魔性を持つジュリウスは,人間の本性について鋭い指摘をする.人々の愛の絆,善人である自信などがいかにもろいものであるかを,ジュリウスは暴露していく.彼の用いる""a puppet show""という言葉は,作中人物が彼の悪意に翻弄されることを示している.善人と自負するルパートはジュリウスの標的とされる.この二人における善と悪の闘いは,完全にルパートの負けであったが,悪魔的ジュリウスもキリスト的タリスの善に反応し,人間性を示すようになる点では,善の完全なる敗北ではなかった.ジュリウスの描写には「オセロ」のイアゴとの共通点が多く見られるが,前述の点から,ジュリウスはイアゴのような骨の髄まで悪魔的な人物とは異なっている.このことから,マードックは独自の悪人像を作り上げたと考えられる."
- 川崎医療福祉大学の論文
著者
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