日本における気管支鏡の現況と将来

概要

論文の詳細を見る
日本の呼吸器疾患を取り扱う主要263施設における1988年1月から12月末までの1年間の気管支鏡の現況についての調査を行い, 約10年前の2つの調査結果とを比較し, わが国の気管支鏡診療の変遷を検討した。気管支鏡診療は内科医, 呼吸器科医によって行われることが最も多く, 96%の施設で局所麻酔下で施行されている。殆んどの施設で経口的に, 気管チューブを使用せずに行っている。気管支ファイバースコープの1施設当りの平均保有数は5.7本で, 殆んどの施設で標準型と処置用ファイバースコープを保有し, 内視鏡所見は16mmか35mmのスチールカメラによる記録を主とすることが多かった。1施設当りの平均年間施行件数は450回であった。約90%の施設で1984年以後, 硬性気管支鏡は1度も使用されなかった。合併症は僅か0.5%であったが, 死亡例は8例, 0.008%にみられた。TBLBは合併症の発生が最も多く(1.3%), 死亡例も3例(0.02%)にみられた。
日本呼吸器内視鏡学会の論文
1989-08-05