初期経験と発達障害の形成に関する一考察 : 自閉的傾向を有する一障害児の事例研究
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概要
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1~3才の時期に,母子関係をふくめた正常な生活経験が剥奪された状態で育った,自閉的傾向を有する一男児について,その就学に至るまでの変化を教育的かかわりの中でとらえ報告した。幼児後期の治療・教育的とりくみの努力にもかかわらず,発達の全面にわたる著しい遅滞及び不均衡が,加令とともにより明確になってきたこと,その障害の形成に初期経験の性質が深くかかわっていることが考察された。本児のように家庭環境をのぞましい状態に変えがたい事情にある時には,早期発見に伴って,入院治療できる体制の必要性も示唆された。The author reported the developmental processes of an autistic boy who was deprived of emotional interaction with his mother or her substitute and free spontaneous activities during his early childhood from one year old to three. He had been educated therapeutically in a small kindergarden with his mother and among normal children for nearly 3 years. The retardation and distortion of his development were, however, still severe and extensive even at his school age. Some discussions on his abnormal development were done in connection with his early experiences and education.
- 大阪教育大学の論文
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