健常犬および自然発症例の僧帽弁逆流症の犬におけるパルス組織ドプラ法を用いた心機能評価(内科学)

概要

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循環器医学領域においてパルス組織ドプラ法(パルスTDI)は, 様々な心疾患における左室収縮・拡張機能の評価に有用であることが示されている.本研究の目的は, 健常犬においてパルスTDIと心カテーテル法より求めた左室機能との関連を検討すること, および自然発症例の僧帽弁逆流症(MR)の犬においてパルスTDIの臨床的な意義を評価することである.全ての犬で拡張早期波(E'), 心房収縮波(A')および収縮期波(S')が僧帽弁輪部において確認できた.健常犬において, S'とLV peak+dP/dt(r=0.88, p<0.05), E'とLV peak-dP/dt(r=0.42, p<0.05)との間にそれぞれ有意な相関が認められた.E'は非心疾患犬と比較してMR犬で低値を示した.非代償性心不全のMR犬のE/E'は, 代償性心不全のMR犬と比較して有意に上昇していた.E/E'のCut off値を13.0とした場合, 非代償性心不全の検出感度は80%, 特異度は83%であった.加えて, E/E'は左房径/大動脈径比(LA/Ao ratio)と有意な相関が認められた(r=0.57, p<0.05).犬のパルスTDIは心収縮・拡張機能評価に有用であり, MR犬において心臓の代償不全および左房の容量過負荷の検出に臨床的に有用であることが示唆される.
社団法人日本獣医学会の論文
2005-12-25