犬心臓糸状虫症におけるエンドセリン-1の発現上昇(内科学)
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概要
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犬心臓糸状虫症の病態とエンドセリン-1(ET-1)の関連性について, 遺伝子および蛋白質レベルより検討した.犬のET-1前駆体タンパク質(PPET-1)をコードする全長cDNAのクローニングを行い, 得られた塩基配列の情報を基にreal-time PCR法によるmRNAの定量解析システムを検討した.このシステムにより, 心臓糸状虫症に罹患した犬の各臓器(心臓, 肺, 肝臓, 腎臓, 脾臓, 胃, 十二指腸, 結腸, 精巣)におけるPPET-1 mRNAの発現解析を行った結果, 健康犬と比較して罹患犬の心臓および肺でそれぞれ約100倍および10倍の発現量増加が認められた.罹患犬の血中ET-1濃度を測定したところ, 健康犬と比べ有意(p<0.01)に増加していた.これらの結果より, 増加した血中ET-1の由来臓器は, 心臓および肺であることが示唆された.僧帽弁逆流, 三尖弁逆流, 心室中隔欠損症および動脈管開存症に罹患した犬の血中ET-1濃度を測定し, 心臓糸状虫症の血中濃度と比較したところ, 心臓糸状虫症の血中ET-1濃度が最も高値を示した.ET-1は, ヒトの肺高血圧症の原因メディエーターの1つであることが証明されており, このことを考慮すると, ET-1は犬心臓糸状虫症に伴う肺高血圧症の原因因子の1つとして働いている可能性が示された.
- 2005-11-25
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