あなたこそ日本の未来だ : アフリカからのメッセージ
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概要
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2001年の8月16日から8月28日にかけて,ケニア共和国とコンゴ民主共和国から,森とそこに住む生き物たちを守ることを生涯の仕事にしている方々を屋久島に招いた。ケニアからは,キープ(カカメガ環境教育プログラム)の取り組みを通してカカメガの森の保全活動の中心となっておられるW・オケカ氏,内戦が続くコンゴ民主からは,屋久島は2度目になる霊長類学者のA・K・バサボセ氏,ゴリラ保護のNGOであるポポフ(ポレポレ基金)の創立者のJ・カヘークワ氏と,ポポフの筆頭アーティストのD・ビシームワ氏の合計4人である。全国から集まった大学生と地元の高校生を対象に屋久島で実施した屋久島フィールドワーク講座の中で,アフリカの人々から日本の若者への熱いメッセージをいただいたので,その言葉を紹介して,環境教育における国際交流の重要性を指摘しておく。カヘークワ「最後に環境教育の役割を強調しておきます。あなたがた学生たちの前に立つと,私は誇らしい気持ちに満たされます。あなたこそが屋久島の未来であり,日本とその環境の未来だからです。先生たちや諸先輩のよい指導を受けて,また,地元のNGOの方々にも導かれています。この世界遺産の地にあって,環境の未来を考えることは,あなたが,これから自分自身と子どもたちの未来の環境のためにとりくんでいくという,またとない機会だと思っています。」オケカ「環境保全の取り組みは,まず,自分が住んでいるところがら始めるべきだと思います。ケニアやコンゴのことを聞かれたら,それを参考にして,ご自分の住む日本で何かをはじめてください。まず,自分の家から始めて,自分の住む村や町に広げていくのです。あなた方若者に申し上げたい。歳をとるまで待つ必要はありません。いま率先して立ち上がって行動に移してください。難しい宿題のように受け取らないでくださいね。環境を守るとりくみを心からやりたいと思い,ボランティアとしてできるような人になってください。立ち上がって,他の多くの人々,仲間やもっと歳若い人たちにも働きかけてともにとりくんでください。われわれの世代がもういなくなった時,そこに残される世代のために。」カヘークワ「あなた方のそれぞれの生活の場には,様々な問題があるということは承知しています。屋久島も例外ではありません。しかし,政府と住民と環境保全団体と若者たちが力を合わせていくならば,さまざまな困難を乗り越えていくことができるでしょう。いつも前向きの気持ちをもち,明るく楽しく取り組んでいってください。ありがとう。」
- 2004-03-25
著者
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安渓 遊地
Yamaguchi Prefectural University
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安渓 貴子
Part-time lecturer of Yamaguchi University and Yamaguchi Prefectural University
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安渓 遊地
山口県立大学国際文化学部
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安渓 遊地
山口県立大学
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安渓 遊地
人類学
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安渓 遊地
山口大学教養部
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安渓 遊地
沖縄大学文化人類学
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