メコンデルタの複合農業(VACシステム)の実態と今後の展開
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概要
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ベトナム, メコンデルタの複合農業システム(VACシステム)の実態を明らかにするために, Vinh Long省Tam Binh県My Loc村において農家の聞き取り調査を行った.調査した農家の約70%は稲作を含む複合農業農家(RVAC農家), 約20%が米を中心に生産する農家(Rice monoculture農家), 約10%が米を生産しない複合農家(VAC農家)として登録されていた.RVACには経営規模の大きな農家が多く, Rice monoculture農家には零細な農家が多いという違いはあるものの, いずれの農家も, 果樹栽培, 養殖, 畜産など多様な作物を複合的に生産していた.これらの作物を比較すると, 稲作は生産量が土地の広さに依存し価格が安定している, 果樹はその生産が労働力に制約されているが価格変動が大きく, 高い収益を上げる可能性がある, 養殖はコストがかからないが, もっぱら自家消費用のタンパク源として取り入れられている, 畜産は, 狭い土地面積で高い生産性が上げられるという特性があった.農家は稲作, 果樹作, 養殖, 畜産の特性を巧みに組み合わせて生産を行っており.将来, 果樹や畜産物の生産を高めたいという希望を持っていた.以上のことから, 今後, 農家一戸あたりの耕地面積が減少していくならば, メコンデルタでは, 果樹栽培や畜産物の生産が増加していくものと考えられた.
- 日本熱帯農業学会の論文
- 2005-12-01
著者
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石川 智士
独立行政法人 科学技術振興機構
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黒倉 寿
東京大学大学院農学生命科学研究科
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黒倉 寿
東京大学院農学生命科学生命科学研究科
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石川 智士
東海大学海洋学部水産学科
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大平 智江
東京大学大学院農学生命科学研究科
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大平 智江
東京大学大学院農学生命科学研究科:(現)水産庁資源管理部遠洋課
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