タイの水田におけるイネノシントメタマバエの発生経過ならびに寄生蜂, Platygaster oryzae (CAMERON) および P. foersteri (GAHAN) の寄生活動
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概要
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1. タイ北部チェンライ県バーン稲作試験場において, 1973年から1975年まで, 水田におけるイネノシトメタマバエ個体群の発生動態と主要寄生蜂, P. oryzaeおよびP. foersteriの寄生状況を調査した.2. タイ北部の7月移植の水田において, イネノシントメタマバエがその世代を全うするためには, イネが幼穂を形成しはじめる9月中旬までに孵化幼虫が生長点に食入しておく必要があるが, 各発育ステージ別個体数の推移から, この時期までに2世代を経過しているものと考えられた.しかし, これらの発生のほかに, 遅れて発生してくる成虫や水田外から飛来する成虫の産卵によると思われる発生が加わり, 発生パターンは一様ではないものと推察された.3. 寄主の卵密度と寄生率の関係の解析により, P. oryzaeは産卵時に寄主密度に強く反応し, その寄生は密度依存性を示すが, P. foersteriの反応は弱いという, 寄生活動における両寄生蜂の特性の相違が明らかになった.4. 比較的発生の推移の明瞭な世代を対象として作成した4枚の生命表から, P. oryzaeが高い寄生率を示すとき, その寄生は寄主個体群の重要な死亡要因の一つとして働く可能性があるが, P. foersteriの寄生はつねに低いレベルにあり, 当地方の水田では重要な死亡要因となり得ていないことが分かった.5. 基本要因分析により, 当地方に発生する寄主個体群における変動主要因は, 両寄生蜂の寄生が死亡要因として働く寄主の3齢幼虫, 前蛹期にではなく, 孵化幼虫が生長点に侵入するまでの間と雌成虫が羽化後産卵するまでの間に存在する可能性が強いものと推察された.
- 日本昆虫学会の論文
- 1989-12-25
著者
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