タイにおけるイネノシントメタマバエの寄生蜂, Platygaster oryzae (CAMERON) および P.foersteri (GAHAN)の生態的特性
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概要
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イネノシントメタマバエの常発地帯であるタイ北部において, 1973∿1976年の4年間にその主要寄生蜂P.oryzaeおよびP.foersteriのいくつかの生態的特性を室内と野外で調査し, 以下の結果を得た.P.oryzae成虫の生存日数は非常に短く, 1∿2日であったが, その間に羽化時から形成されていた成熟卵約1, 800個のうちの約半数を約30個の寄主卵に対して, 1卵当たり約30卵あて産下した.しかし, 水田で採集した各寄生卵内には約60個の卵が観察され, 水田では重ね産みが起きている可能性が示唆された.しかも, これら各寄主卵に産下された卵は, そのほとんどが成虫まで発育することが明らかになった.性比は圧倒的に雌が多く, 調査個体約2, 600頭のうち98%が雌であった.P.foersteri成虫の生存日数は約4日で, 前種よりも若干長かった.蔵卵数は約760個で, 前種の半数にも満たなかったが, このうちの約200卵を1寄生卵当たり1卵ずつ, すなわち, 約200個の寄生卵に産下した.本種の場合も野外で採集した寄主卵の中には平均4卵が観察されたが, 1寄主内で成虫まで発育出来るのは, 通常1頭に限られ, 前種と同様に重ね産みの可能性が示唆された.性比は約80%が雌で, 前種に比較して雄の割合がかなり高かった.両寄生蜂の生態的特性を基に, r-, K-戦略者の特徴により, 両種の比較を試みた結果, P.oryzaeはr戦略者であり, P.foersteriはK戦略者であることが示唆された.
- 日本昆虫学会の論文
- 1984-03-25
著者
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