低濃度リン酸酸性フッ化アンモニウム溶液作用エナメル質のEPMAによる分析

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フッ化アンモニウムの歯磨剤への応用を考えてフッ素濃度900ppm,pH4.5のリン酸酸性フッ化アンモニウム(NH_4F)溶液について,人工う蝕形成抑制効果の検討を行い,すでに報告した。本研究では,そのう蝕抑制メカニズムの一端を明らかにする目的で,リン酸酸性NH_4F溶液(900ppmF^-,pH4.5)作用エナメル質について,電子線マイクロアナライザ(EPMA)による分析を行った。カルシウム,リン,フッ素の分布状態についてはEPMAによる線分析を行い,フッ化物作用エナメル質表面の反応生成物の同定は,状態分析により行った。溶液作用後エナメル質表層のフッ素濃度はNH_4F群で17.5%,APF群で14%であった。またNH_4F群の方がフッ素が内層まで取り込まれることが確認された。拡大分析により,溶液作用後のエナメル質表層には多量のフッ化カルシウムの沈着が示され,EPMAによる状態分析では,反応生成物はフッ化カルシウムとフルオロアパタイトであることが確認された。人工う蝕部の状態分析では,全ての群でフルオロアパタイトが検出されたがその生成量はフッ化物作用群で大きかった。以上のことから,フッ素濃度900ppm,pH4.5のリン酸酸性NH_4F溶液のう蝕予防メカニズムとしては,エナメル質表層に多量のフッ化カルシウムを生成し,同時にフルオロアパタイトを生成することと,人工う蝕形成に際し沈着したフッ化カルシウムが溶出しフルオロアパタイトを生成することによるものであることが示された。
1996-04-30

低濃度リン酸酸性フッ化アンモニウム溶液作用エナメル質のEPMAによる分析

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