大学附属病院口腔外科手術室における気菌濃度と粉塵濃度の経時的推移

概要

論文の詳細を見る
病院の口腔外科手術室の気菌濃度の経時的推移ならびに粉塵との関係を検討することを目的として,気菌濃度(浮遊細菌,落下細菌)ならびに粒度別粉塵濃度(径:0.3, 0.5, 1.0, 2.0 ,5.0μm以上)の測定を行った。その結果,次のような成績が得られた。1.気菌濃度は手術中に高くなり,浮遊細菌濃度は0.03〜0.89CFU/l,落下細菌濃度は0.33〜4.67CFUに分布した。また浮遊細菌濃度と落下細菌濃度は,手術前と手術中に高い相関関係(p<0.01)が認められ,浮遊細菌濃度の清浄閾値0.2CFU/lに相当する落下細菌濃度のスクリーニング基準値は,2.8CFU以下が有効であることが示された。2.総粉塵濃度は,手術開始後30分ならびに手術終了前後30分に高くなる傾向があり,気菌濃度の動向とは異なることが認められた。また粉塵濃度の粒度分布は,手術中が手術前後と比較して1.0μm以上の大きな粒度の粉塵の割合が高いことが認められた。3.気菌濃度ならびに粉塵濃度に影響を及ぼす気候環境因子は,手術中において在室人員であることが認められた。また気菌濃度は,5.0μm以上の粒度粉塵濃度と高い相関関係(p<0.01)があり,粉塵濃度を基に気菌濃度の即時推定ができる可能性が示唆された。
有限責任中間法人日本口腔衛生学会の論文
1998-01-30