学童および高齢者における歯みがき動作の特徴について

概要

論文の詳細を見る
ある特定の食みがき方法においても,またその方法によって刷掃を実行している各個人についても,その歯みがき動作にはそれ固有の特微か認められる。このことが,各個人あるいは各年齢層における刷掃効果に優劣が生しる原因となっている。この論文では,ローリング法およびスクラッビング法による刷掃時の学童および高齢者の歯みがき動作の特徴を分析した。その結果,学童および高齢者(とくに,学童)では,成人に比べて食ブラシを握る力(手指圧および握力)が弱いこと,したがってとくにローリング法(比較的大きな歯みがき圧を必要とする)におけるリズミカルな刷掃が困難であること,またどちらの歯みがき方法による刷掃においても上肢の関節(とくに,手首関節)の運動および筋の活動に無駄の多いことが判明した。したがって,学童および高齢者における手用歯ブラシを用いるブラッシングの効果を上げるには,刷掃時の歯ブラシ頸部のねじれを観察しながら行う刷掃訓練のほかに,スムーズな筋活動ができるように,各歯みがき方法に関与している各筋の活動力を高めるあるいは補うことを加味した刷掃訓練を合わせ行う必要があると結論した。
1995-01-30